むちうちの画像診断について
1 むちうちの画像診断の種類について
むちうちの画像診断として代表的なものはレントゲン撮影,CT,MRIの3種類です。
この3種類のうち,レントゲン撮影については,ほとんどの整形外科で撮影をしてもらうことができます。
他方で,CTやMRIについては,高額で大規模な器材が必要となる精密検査であるため,通院先の整形外科にCTやMRIの器材がない場合も珍しくありません。そのような場合には,通院先の整形外科で紹介状を書いてもらって,CTやMRIの器材を備えている大病院で撮影してもらうこととなります。
以下に,レントゲン撮影,CT,MRI,それぞれの特徴についてご紹介します。
2 CTとは
CTとは,正式にはコンピューター断層撮影(Computerized tomography)と呼ばれる検査です。
CTは, X線を利用して人体の内部を撮影する検査であり,コンピューターを利用して,人体の精密な横断断層像(輪切り画像)を撮影することができる点に特徴があります。
3 レントゲン撮影とは
レントゲン撮影は,X線撮影とも呼ばれているように,X線という放射線を照射して透過させることで体内の状態を確認する検査です。
交通事故の被害者の方が,首の痛みなどを訴えた場合には,首の骨の状態を確認するため,医師が,頚部のレントゲン撮影を行うことが多いです。
レントゲン撮影の特徴は,CTやMRIに比べると,簡易かつ安価である反面,精度がCTやMRI程高くはなく,明確な骨折の有無などを簡易・迅速に診断に確認するのに適した検査です。
4 MRIとは
MRIとは,正式には磁気共鳴映像(Magnetic resonance imaging)と呼ばれる検査です。
CT,レントゲン撮影との最大の違いは,X線ではなく,磁気をもちいて人体の内部の状態を確認する検査であることです。
そのため,X線の照射では撮影することが難しい軟部組織(脳やせき髄等)の状態まで確認することが出来る点で,優れた検査です。
たとえば,手の指のしびれや,腱反射の異常など,神経の異常を疑わせるむちうちの症状がある場合などで,脊髄や神経にダメージを受けていないかを精密に検査したい時にはMRIの撮影が適しています。
特に,むちうちの場合,明確な骨折等の所見がないことも多く,レントゲン撮影だけでは,症状の原因を確認することが困難であることが多いです。
そのため,痛みやしびれが継続する場合には,その原因を調べるためにMRIによる精密検査を受けるべきかどうか,主治医としっかり相談してみることが考えられます。