むちうちが後遺障害14級に認定された場合の逸失利益
1 むちうちによる逸失利益
交通事故の被害に遭い,むちうちで後遺障害14級と認定された場合,後遺障害による逸失利益について損害賠償を受けることができます。
ここでは,逸失利益について説明していきます。
2 後遺障害による逸失利益とは
むちうちになってしまった場合,交通事故前と同じようには働けないということがあります。
働くのに支障が出て,将来得られたであろう収入が減少した場合,逸失利益を請求することができます。
逸失利益とは,一般的に,交通事故被害に遭わなければ,将来もらえたであろう将来の収入が減少するという損害を意味し,加害者やその保険会社に請求することができます。
そして,後遺障害による逸失利益とは,後遺障害により労働能力が減少又は喪失してしまい,将来得られたであろう収入が減少するという損害をいいます。
3 逸失利益の計算
- ⑴ 計算方法
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後遺症による逸失利益は,下記の計算式により算出します。
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数=逸失利益
- ⑵ 基礎収入について
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基礎収入に関しては,原則として交通事故にあう前の実際に稼いでいた収入を基礎とします。
無職であった場合や専業主婦の場合は,毎年厚生労働省が発表している,賃金センサスというものを基礎とします。
- ⑶ 労働能力喪失率
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労働能力喪失率とは,交通事故により,労働能力が減少又は喪失した割合を示したものです。
むちうちで,後遺障害14級に認定された場合であれば,労働能力喪失率は,5%が基準となります。
4 労働能力喪失期間とライプニッツ係数
労働能力喪失期間は,原則現在の年齢から67歳まで働くと考えて,期間を算出します。
ただし,むちうち症で14級の場合,労働能力喪失期間は,5年とされることが多いようです。
ライプニッツ係数とは,将来受け取るはずのお金を前倒しでもらうために得られた利益を控除するために使われる指数です。
将来にわたって,毎年得るはずだった収入を一括でもらうことから,利息分の利益があったと仮定して,このような指数が使われるのです。難しく言うと,中間利息を控除するともいいます。