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むちうちの通院回数が少ない場合等の計算方法

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2021年3月17日

1 通院回数が少ないと慰謝料も少ない?

むちうちの慰謝料は、各基準によって、算出方法が異なりますが、ここでは、弁護士基準・裁判基準といわれる、赤い本別表Ⅱ基準に絞ってご説明いたします。

2 通院日数が少ない場合

⑴ 週に2~3回ペース以下の通院回数ですと、慰謝料の基準が通常の基準より下げられてしまうことがあります。

※必ず下げられてしまうというわけではありません。

⑵ これは、赤い本に、「通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある」(赤い本上巻(基準編)2020(令和2年)192頁参照)と記載されているからです。

⑶ 例えば、どういうことかといいますと、赤い本別表Ⅱ基準の慰謝料は、通院期間ごとに慰謝料の金額が定められています(具体的な金額は下記参照)。

通院1か月:19万

通院2か月:36万

通院3か月:53万円

通院4か月:67万円

通院5か月:79万円

通院6ヶ月:89万円

通院7か月:97万円

通院8か月:103万円

例えば、週に5回ペースで通っている人(Aさん)と、週に1回しか行ってない人(Bさん)が、通院期間が5か月で同じであったとした場合に、AさんとBさんが全く同じ慰謝料(79万円)がもらえるというのは少し違和感があるのではないでしょうか。

週に5回通院していた人はいいとしても、週に1回しか通院していない人が、5か月通ったからといって5か月分の慰謝料79万円がもらえないこともあるという意味です。

⑷ 通院が少ない人の慰謝料の例

週1ペースで通院していた人が、5か月で20回しか通院していなかった場合には、実通院日数20日の3倍=60日を「修正通院期間」として慰謝料が計算されることもあります。

修正通院期間60日は、つまり通院2か月(※1ヶ月30日として計算します。)となりますので、慰謝料は、通院2か月分の36万円と判断されることもあります。

3 例外的扱いであることに注意

上記の扱いは、通院期間が短期の場合には、実際の裁判例では、別表Ⅱの基準よりかなり高い金額が認定されている傾向が認められ、むちうち症に関して「実通院日数の3倍を通院期間とする」基準は裁判の実態を反映していないということで、例外的扱いであることに注意が必要です(詳細は、赤い本下巻(講演録編)2016(平成28年)95頁参照)。

保険会社は、この例外的扱いを知らずに、通院日数が少ない場合には、直ちに実通院日数の3倍程度の修正通院期間でしか通院慰謝料を支払わないと主張してくることがありますので、注意が必要です。

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